こんにちは、ShimaSuki編集部です。春の穏やかさが残る5月と、梅雨入り前の爽やかな風が吹く6月。そんな季節に旅をするなら、自然と文化の豊かさが詰まった四国がおすすめです。今回は香川・徳島・愛媛・高知の4県から、初夏の魅力を満喫できるスポットをたっぷりご紹介します。
香川県|緑深まる栗林公園と、アートと海に癒される直島の休日

香川県の玄関口・高松駅からほど近くにある「栗林公園(りつりんこうえん)」は、国の特別名勝にも指定されている、まさに日本庭園の傑作です。約75ヘクタールの広大な敷地の中には6つの池と13の築山が点在し、江戸時代の大名庭園の風情を今に伝えています。
5月から6月にかけては、初夏の新緑が園内を包み込み、晴れた日には池に映る木々の緑と青空がまるで絵画のよう。遊覧船に乗って庭園を巡れば、水の音と鳥のさえずりが心をほどいてくれます。茶室で抹茶を味わいながら、静かな時間を過ごすのもおすすめです。
そして、高松港からフェリーで約1時間。瀬戸内海に浮かぶ「直島」は、アートの島として世界的に知られています。「地中美術館」では、クロード・モネの『睡蓮』を自然光の中で鑑賞できるほか、安藤忠雄が設計した建築空間も見どころの一つ。また、島内のあちこちには現代アート作品が点在しており、散策するたびに新しい発見があります。
栗林公園で日本の伝統美に浸り、直島で現代アートの刺激を受ける。香川の初夏は、心と感性を同時に潤してくれる旅になることでしょう。
徳島県|祖谷渓の秘境美と、初夏の夜を彩るホタルの舞い

四国山地に抱かれた徳島県の西部に位置する「祖谷渓(いやけい)」は、日本三大秘境の一つとして知られています。深いV字型の渓谷にかかる「かずら橋」は、シラクチカズラという植物のツルを編んで作られた吊り橋で、昔の人々の知恵が息づいています。橋の下は透き通る川が流れ、足元の隙間から覗く景色に思わず足がすくむスリルも魅力のひとつ。
5月から6月にかけては、新緑の美しさが最高潮。祖谷川の流れと若葉のコントラストが見事で、特に雨上がりの日は、山々がうっすらと霧に包まれ、幻想的な景観が広がります。渓谷沿いにある「祖谷温泉」では、ケーブルカーで下る源泉かけ流しの露天風呂も楽しめ、秘境での癒し体験が待っています。
さらに、この時期の徳島で見逃せないのが「ホタル観賞」。美馬市や阿南市などでは、地元の人々が大切に守ってきた自然環境の中で、無数のホタルが舞う光景が見られます。夜の静けさの中で、一匹、また一匹と光り始める様子は、言葉にできないほどの感動があります。人工的な明かりが少ない四国の山里だからこそ見られる、初夏の風物詩です。
祖谷渓で昼は深い緑に包まれ、夜はホタルの光に魅せられる——そんな静かな時間に、心の深呼吸をしてみてはいかがでしょうか。
愛媛県|しまなみ海道で風を感じ、道後温泉で心と体をほどく旅

サイクリストの聖地として知られる「しまなみ海道」は、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ全長70kmの道。7つの橋が瀬戸内の多島美を縫うように結び、5月・6月の晴れた日には、爽やかな海風を感じながら快適なライドが楽しめます。初心者には、今治から大三島までの片道コース(約30km)がおすすめ。レンタサイクルも充実しており、体力に応じたペースで無理なく楽しめます。
途中の大三島では「大山祇神社」に立ち寄ったり、柑橘ジュースや地元の海鮮料理を味わったりと、島時間ならではのゆったりとした体験が待っています。特にこの時期は、レモンや甘夏の季節で、爽やかな酸味が身体にしみるおいしさ。
サイクリングで汗をかいた後は、松山市の「道後温泉」へ。日本最古の温泉といわれるこの地では、道後温泉本館のレトロな雰囲気に加え、最近では別館「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」や足湯付きのカフェも登場し、女性にも人気です。温泉に浸かりながら旅の疲れを癒し、温泉街でのんびり過ごす夕暮れは格別。
自然と運動、歴史と癒しが絶妙に調和する愛媛の初夏旅は、心も体も満たしてくれることでしょう。
高知県|仁淀ブルーの神秘と、土佐グルメで味わう至福の時間

「仁淀ブルー」という言葉をご存知でしょうか? 高知県を流れる仁淀川は、その透明度と青さから、こう呼ばれるようになりました。中でも「にこ淵(にこぶち)」は、まさに自然が創り出した奇跡のような場所。森に囲まれた静かな滝壺に光が差し込むと、青く輝く水面が幻想的な表情を見せます。
このにこ淵を訪れるなら、朝の時間帯が狙い目です。静寂の中、鳥の声と滝の音だけが響く空間で、ただ水の色を眺める——そんな贅沢な時間が過ごせます。また、仁淀川沿いにはキャンプ場やカヌー体験施設もあり、自然と触れ合うアクティビティが豊富です。
そして高知市に戻ったら、ぜひ「ひろめ市場」へ。観光客と地元の人が入り混じるこの場所では、「藁焼きかつおのたたき」をはじめとする土佐料理を味わえます。皮がパリッと香ばしく、中はレアなかつおに、にんにくスライスとたれをたっぷり絡めて。地元の「酔鯨」や「美丈夫」といった銘酒と一緒にいただけば、高知らしい夜のひとときが完成です。
清流の美しさと、心温まる食の魅力。高知の初夏は、五感をとことん刺激してくれる旅になるはずです。
おわりに|心ほどける、初夏の四国へ
四国には、「絶景」「秘境」「歴史」「アート」「グルメ」「温泉」と、旅に必要なすべてがぎゅっと詰まっています。そして、5〜6月の初夏はそれらがもっとも心地よく楽しめる季節。混雑も少なく、旅人にやさしい空気が流れるこの時期だからこそ、四国の本当の魅力に出会えるのです。
自然に触れ、土地の文化に触れ、人の温かさに触れる——そんな旅を、今年の初夏は四国で楽しんでみてはいかがでしょうか?