こんにちは、ShimaSuki編集部です。
沖縄本島を何度か訪れたことがある方ほど、「まだ知らない沖縄」を探し始めるものです。
ビーチリゾートや有名観光地をひと通り巡ったあと、ふと地図を眺めていて目に留まる場所。
それが、読谷村の西端に突き出した残波岬です。
那覇から車で約1時間。
高速道路を使わなくてもアクセスできるこの岬は、観光地としての知名度は高い一方で、滞在記として深く語られることは意外と多くありません。
しかし実際に足を運んでみると、残波岬は「立ち寄りスポット」では終わらない魅力を持っている場所だと感じました。
残波岬という地形が生み出す、独特の空気感
残波岬は、隆起サンゴ礁が長い年月をかけて形成された断崖地帯です。
高さ30メートル前後の崖が連なり、東シナ海に向かって鋭く切り立っています。
この地形が生み出しているのが、常に動き続ける空気です。
風は強く、雲の流れは速く、同じ景色でも数分後にはまったく違う表情を見せます。
「沖縄の海=穏やか」というイメージを、良い意味で裏切ってくれる場所です。
自然が優しいというよりも、自然が正直にそこにある。
残波岬は、そんな印象を受ける場所です。
残波岬灯台──のぼれる灯台 沖縄で1番の高い灯台

岬の先端近くに立つ残波岬灯台は、1974年に建てられた白亜の灯台です。
沖縄本島では最も高い灯台で、全国的にも数少ない一般公開されている「登れる灯台」のひとつとして知られています。
灯台の内部はとてもシンプルで、ひたすら螺旋階段が続きます。

息を整えながら一段ずつ上っていくと、窓から差し込む光が少しずつ強くなっていくのが分かります。急であり、かつ長く続く階段に心折れそうになりますが、手すりをしっかりと持って登ってみてください。
最上部に出た瞬間、視界は一気に開けます。
360度、遮るもののない水平線。
自分が断崖の上に立っていることが、足元からはっきりと伝わってきます。
高所恐怖症の方にはおすすめはできないくらい、スリル満点です。

この景色を目にすると、
「なぜここに灯台が必要だったのか」という理由が、感覚的に理解できるはずです。
灯台から見下ろす、沖縄の輪郭

残波岬灯台の展望デッキからは、天候に恵まれれば慶良間諸島方向の海域や、沖縄本島中部の海岸線まで見渡すことができます。
特に印象的なのは、海の色の変化です。
浅瀬のエメラルドグリーン、少し沖のコバルトブルー、そして水平線近くの深い藍色。
リゾートビーチとは異なる、立体的な海の表情が広がっています。
写真では伝えきれない迫力があり、「高い場所から見る海」の魅力を改めて実感できる場所です。
自然の力を間近で感じる「残波岬の潮吹き穴」

残波岬周辺でぜひ立ち寄りたいのが、潮吹き穴です。
これは人工的に作られたものではなく、長年の波の浸食によって岩に空いた穴に、
打ち寄せる波が入り込み、勢いよく潮を吹き上げる自然現象です。

波が高い日や、風の強い日には、
「ゴォッ」という音とともに、想像以上の高さまで海水が吹き上がることもあります。
自然の力を視覚と音で同時に感じられる、残波岬ならではのスポットです。
ただし、足場は岩場が多く、潮が吹き上がる方向も一定ではありません。
近づきすぎず、安全な距離を保って見学することが大切です。
断崖沿いを歩く時間が、旅を記憶に残す

灯台や潮吹き穴を巡ったあとは、断崖沿いの遊歩道をゆっくり歩いてみてください。
遊歩道は整備されていますが、自然を必要以上に加工していないため、
風や波の音がダイレクトに伝わってきます。

観光地でありながら、
「何かをしなければならない」という気持ちが不思議と薄れていく場所です。
ただ歩き、立ち止まり、海を眺める。
その時間そのものが、残波岬観光の価値だと感じられます。
海の表情が一変する「残波ビーチ」

残波岬から少し移動すると、残波ビーチがあります。
断崖と荒波のイメージが強い残波岬周辺ですが、
このビーチでは一転して、穏やかで透明度の高い海が広がります。

白い砂浜と遠浅の海は、夏場には海水浴やシュノーケリングを楽しむ人で賑わいます。
ビーチは整備されており、シャワーやトイレなどの設備も整っています。
断崖で自然の迫力を感じ、
ビーチで沖縄らしい海を楽しむ。
このコントラストを同じエリアで体験できるのは、残波ならではです。

残波岬周辺を訪れる際の注意点とおすすめ時間帯
・風が強い日が多いため、羽織ものがあると安心です
・潮吹き穴や断崖付近では、滑りにくい靴がおすすめです
・夕方以降は足元が暗くなるため、時間に余裕を持ちましょう
おすすめは、午後から夕方にかけての滞在です。
断崖、潮吹き穴、ビーチ、夕陽と、残波岬周辺の魅力を一日で味わえます。
残波岬は「沖縄の自然を立体的に感じられる場所」です

残波岬灯台、潮吹き穴、残波ビーチ。
このエリアには、沖縄の海のさまざまな表情が凝縮されています。
穏やかさだけではない、
力強さや厳しさも含めた沖縄の自然。
残波岬周辺は、
沖縄を「深く知りたい」と感じている方にこそ訪れてほしい場所です。

