こんにちは、ShimaSuki編集部です。日本を旅行していて、「ゴミを捨てたいのに、ゴミ箱が見つからない」と感じたことはないでしょうか。
コンビニで買った飲み物の空容器。
食べ歩きをした後の包装紙。
子どもと出かけた際に出たちょっとしたゴミ。
日本で暮らしている私たちは、いつの間にか「ゴミは持ち帰るもの」という感覚に慣れています。
しかし、日本を訪れる外国人旅行者にとっては、必ずしも当たり前ではありません。
そして2026年、そのことを改めて示すデータが発表されました。
訪日外国人が日本旅行で最も困ったことは「ゴミ箱の少なさ」
観光庁が2026年4月28日に公表した「令和7年度 訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」では、訪日外国人旅行者4,110人を対象に調査が行われました。
その結果、日本旅行中に困ったことの第1位となったのが、
「ごみ箱の少なさ」17.2%
でした。
「施設等のスタッフとのコミュニケーション」15.4%、「観光地や地域の混雑」12.9%、「交通機関の利用」11.3%を上回っています。
しかも、ごみ箱の少なさが最多となったのは今回だけではありません。前年度の調査でも21.9%で最多でした。
つまり日本の観光において、「ゴミをどこに捨てればいいのか」は一時的な問題ではなく、旅行者が繰り返し感じている受入環境の課題なのです。
「ゴミは持ち帰ってください」だけで、本当にいいのだろうか
もちろん、ゴミを持ち帰る文化そのものを否定する必要はありません。
自然環境を守るために、登山道や海岸などでゴミの持ち帰りを求めることには大きな意味があります。
一方で、観光客が多く訪れる場所まで、一律に「ゴミは各自で持ち帰ってください」とすることが、これからの観光地にとって最適なのかは考える必要があります。
特に訪日外国人旅行者が増えている今、
「旅行者のマナーに任せる」だけではなく、「旅行者が正しく捨てられる環境をつくる」
という発想も必要なのではないでしょうか。
離島だからこそ、ゴミ問題を考えたい

この問題をShimaSukiが取り上げたい理由があります。
それは、日本の離島こそ、ゴミ問題と非常に近い場所にあるからです。
離島旅行では、港に到着し、レンタカーやバス、自転車などで島を巡り、海岸や展望台、飲食店、観光施設などを訪れます。
都市部のように、数分歩けば駅や商業施設、コンビニがあるとは限りません。
一度観光ルートに入れば、何時間もゴミを捨てられる場所に出会わないことも考えられます。
その一方で、離島では回収する人員や処理設備、運搬コストなど、本土とは異なる事情があります。
だからこそ、
「とにかくゴミ箱を増やせばいい」
という単純な話でもありません。
必要なのは、その島の観光客数、観光動線、ゴミの量、回収能力に合わせた仕組みです。
ゴミ箱は「観光インフラ」ではないだろうか
私たちは観光地を整備するとき、
- トイレ
- Wi-Fi
- 多言語案内
- キャッシュレス決済
- 観光案内所
- 駐車場
などを「観光客を受け入れるためのインフラ」と考えます。
そこに、これからは「ゴミを適切に捨てられる環境」も加えていいのではないでしょうか。
きれいな海をPRする。
美しい街並みをPRする。
豊かな自然をPRする。
それと同時に、
「旅行中に出たゴミを、迷わず適切に処分できる島」
であることも、旅行者にとっては一つの安心材料になります。
ゴミ箱を増やすと「ゴミがあふれる」という問題
もちろん、ゴミ箱を設置すればすべて解決するわけではありません。
むしろ問題になるのが回収です。
観光シーズンには一気にゴミが増え、ゴミ箱からゴミがあふれる。
カラスなどの動物に荒らされる。
家庭ゴミが持ち込まれる。
分別されない。
回収する人の負担が増える。
離島の場合、この「その後」を考えずにゴミ箱だけを設置することはできません。
だからこそ注目したいのが、テクノロジーを活用した次世代型のゴミ箱です。
IoTスマートゴミ箱「SmaGO」という選択肢

その一例が、株式会社フォーステックが展開するスマートゴミ箱「SmaGO(スマゴ)」です。
SmaGOはソーラーパネルで発電し、ゴミが一定量たまると自動的に圧縮。通常より多くのゴミを収容できる仕組みを持っています。
さらにIoTを利用してゴミの蓄積状況を遠隔で確認でき、満杯になる前に回収するなど、回収業務の効率化につなげられます。
2026年6月時点では、日本全国約70カ所・約700台が稼働しているとされています。
例えば、2026年には京都・伏見稲荷大社近くにも3台が設置されました。
また箱根では、芦ノ湖・箱根町園地に5台が設置されています。
どちらも多くの観光客が訪れる地域です。
こうした仕組みは、回収する人員が限られる地域でも検討する価値があります。
実は国も「ICTゴミ箱」を観光政策として支援している
さらに興味深い動きがあります。
観光庁の2026年度「オーバーツーリズムの未然防止・抑制をはじめとする観光地の面的受入環境整備促進事業」では、観光地でのマナー違反防止・抑制策として、
ICTゴミ箱の整備
が具体例として挙げられています。
公募要領にも、ゴミのポイ捨て対策として「スマートごみ箱の整備・実証運用費」が補助対象事業の例として明記されています。
これは「ゴミ箱の整備」が単なる美化活動ではなく、観光地の受入環境整備の一つとして位置づけられ始めていることを示しています。
離島で導入するなら「どこに置くか」が重要
では、離島でゴミ箱を整備するとしたら、島中に大量に設置する必要があるのでしょうか。
ShimaSukiは、そうは考えません。
むしろ重要なのは観光客の動線を分析することです。
例えば、
「港・フェリーターミナル」
「主要観光スポット」
「食べ歩きエリア」
「海水浴場」
「レンタカー返却場所周辺」
「道の駅や観光案内所」
など、ゴミが発生しやすく、旅行者が必ず通る場所に絞って配置する。
そしてGoogleマップや島の観光マップなどで、
「ここでゴミを捨てられます」
と多言語で案内する。
ゴミ箱そのものを増やすだけではなく、「どこで捨てられるのかが分かる仕組み」までセットにすることが大切です。
「捨てられる島」を観光PRにしてもいい
ゴミ箱は、これまで観光PRの表舞台に出るものではありませんでした。
しかし、考え方を変えてみます。
「島内○カ所にスマートゴミ箱を設置しています」
「観光マップから最寄りのゴミ箱を確認できます」
「ペットボトルを適切に回収・リサイクルしています」
「観光客と一緒に海をきれいにする島を目指しています」
こうした取り組みそのものが、島の姿勢を伝えるメッセージになります。
美しい海の写真だけを掲載して「自然を大切にしましょう」と伝えるよりも、
自然を守るための仕組みまで用意している島。
そのほうが、環境に配慮する旅行者に対して説得力のあるPRになるのではないでしょうか。
「持ち帰って」から「ここに捨ててください」へ
日本では長い間、ゴミを持ち帰ることが美徳として定着してきました。
それ自体は、とても素晴らしい文化だと思います。
しかし、訪日旅行者が増え、日本の観光が大きく変わっている今、すべてを旅行者のマナーだけに委ねるのではなく、受け入れる側の仕組みについても考える時期に来ています。
「ポイ捨て禁止」
「ゴミは持ち帰ってください」
という注意書きを増やすだけではなく、
「ゴミはこちらへ」
と示せる観光地へ。
それは旅行者にとって快適なだけではありません。
ポイ捨てを減らし、景観を守り、海へ流出するゴミを減らすことにもつながります。
ゴミ箱が、島のおもてなしになる未来
離島観光で最も大切にしなければならないものの一つが、美しい自然です。
だからこそ、「ゴミ箱を置かないことで自然を守る」という考え方だけでなく、
「適切に捨てられる環境をつくることで自然を守る」
という選択肢についても考えてみる価値があります。
もちろん、島によって事情は異なります。
ゴミ処理能力も違えば、観光客数も、回収できる人員も違います。
スマートゴミ箱がすべての島に適しているとも限りません。
重要なのは「設置する・しない」という二択ではなく、
その島にとって、旅行者が出したゴミを最も適切に処理できる仕組みは何なのかを考えること。
そして、もしその仕組みを整えることができたなら、それはコストだけではなく、島の新しい観光価値になるかもしれません。
「海がきれいな島。」
「景色が美しい島。」
そしてこれからは、
「旅行者も一緒になって、きれいな環境を守れる島。」
そんなことも、旅先を選ぶ理由の一つになっていくのではないでしょうか。
ゴミ箱は、単なるゴミを入れる箱ではありません。
観光客を迎え、地域の景観を守り、自然を次の世代へ残すための、小さな観光インフラです。
ShimaSukiは、日本の島々が「美しい場所」であり続けるために、こうした小さな仕組みについても考えていきたいと思います。

